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松居さんはもう別世界に住んでいる生物のようになっている。おそらく元からこんな人なんだろうけど、20年前はこんな感じに思えなかった。正視できない。

どういうわけか、隣の男が、先週末の朝早く、庭にいたぼくらに文句をぶつけてきた。奇襲攻撃で、最初訳が分からなかったのだが、時間が経つと、おそらく、彼はこれまで必死に隠していたが、病的な神経質なのだ。だから、多分、彼女が逃げた。庭で二、三言喋っただけで、「おい、朝7時だろうが、静かにしてくれ」って、高学歴で高級官僚の好青年がこれまでと態度を急変させたのは、ちょっとしたホラーだった。

実はこれで2度目のクレームで、初回は多分1年前くらい。ドアの音がうるさいとのことだったが、1つにはこの家の構造がチープすぎて、まじな話、風が吹いただけで家の中央部の風なんか全く当たらないガラスが揺れる。50mぐらい離れた道路を大型車が走っても同じ。振動が非常に伝わりやすい構造になっているのに加え、振動が奥に進むにつれて増幅される。おまけに、ここら世帯一帯が中庭形式になっていて、中庭部分でちょっと会話しただけで、時間帯によっては拡声器で話したみたいになる。で、それを理解した上で、普通は他人に文句なんか言わない。だって、みんな同じ条件なんだから。寂しいのかも知れないし、正直、ぼくらが仲いいからうらやましいんだろうなとも思う。妬みの感情が厄介なのは、これまでの経験から分かる。

この男とは、多分、今後1年ちょっとぐらいの関係だと思うので、なんとかやり過ごせばいいと思うのだ。むこうが先に出て行くかも知れないし。でも、今後、どこかに引っ越した時に、隣人が一体どんな人間なのか、表面から伺い知るのは困難だと今回の件で思い知った。まあ、後で分かったところで、家を買ってしまったらなかなか逃げられない。

僕は隣人トラブルでエネルギーを費やすことほどばかばかしいことはないと思っている。